友人Mが救急車で運ばれて、意識不明の重体の知らせを聞いた。今日はエイプリルフールだったけ?とぼんやり思った。だって、元気印で、朝からランニングして、5キロの距離をオバチャリで出勤、昼休みにジムでヒップホップ踊るような奴が、病気だんなんて信じられなかった。
集中治療室で丸刈りでキズだらけの頭。点滴やら、酸素やら、管だらけの身体。なんとか目覚めて欲しい。みんなで見舞いに来たら、喜んで起きる?そんな希望を抱いて、それから、友達に電話しまくった。ものすごい沢山の人が見舞いに来た。イギリスから一番の親友も駆けつけた。
でも、イギリス在住の親友が来てくれるのを待っていたかのように。Mは旅立った。受付やら、連絡係、色んな作業に追われた私は、あまり泣かなかった。泣きまくり、動揺しまくりの友人を慰めて歩いた。あっさりしてる自分に驚いていた。
お見舞いの時も、看護士さんが驚いたが、小さな町の葬儀場に長い列が出来た。友人がまたその友人を連れて、ゴスペル合唱団も参列した。最期の焼香が終わり、ゴスペルの美しいハーモニーが、みんなの悲しみを表現するかのようだ。青い空に美しく、力強い歌声が響いた。
出棺の時が来た。お別れに彼女の顔をなでた。硬く冷たい彼女。そういえば、亡くなってすぐ駆けつけて、抱きついたので、まだ温かくて、柔らかくて、死んだなんて思ってなかったところがあった。はじめて、彼女が死んだ事実を突きつけられた。今まで溜め込んでた涙が一気にあふれて、オイオイ泣きくずれてしまった。
たぶん、その場にいた誰よりも、みっともなかった。号泣で迎えた出棺。曲はもちろんサザンオールスターズ。常識外れの選曲だ。でも彼女の大好きだったサザンの曲で見送ることは家族の方も満場一致だった。
海の日。
めっちゃくっちゃ青い空。
サザンの曲。
これ以上ないくらい、Mらしい最期だった。
(奈良県:川島さま)