私が結婚してたまに実家へ帰ると必ず、母からは父への愚痴を聞かされ、父からは母の愚痴を聞かされていました。
私は「この両親はよほど気があわないのだ。離婚しないのが不思議だ」と思っていました。
3年前、母が亡くなった時、通夜から葬儀の直前まで、父はずっと母の前で何も言わず座っていました。
その姿をみて私はやっと気がつきました。
父と母が口喧嘩をしてると思っていたのは、実はコミュニケーションだったのだ。愛情表現だったのだ。
本当に仲が悪いのなら、口もきかないはず。口喧嘩のような会話のある毎日、それは仲がいい証拠だったのだ。喧嘩相手のいなくなった父は、急に無口になりました。
葬儀の時、一言だけ母に向かって言葉をかけた、その一言は
「ママ、ありがとうな。息子と娘を生んで、いい子供に育ててくれて。」
私は、決して良い娘ではないけれど・・・。母の代わりにはなれないけれど・・・。
これからは母のいないぶん、父を守ってあげようと思いました。
(兵庫県 : マエゾノさま)