2009年5月20日水曜日

Kさま



本物のハグ


「元気でね」。
「うん、色々ありがとう」。

次の日は、1年数ヶ月過したこの町ともお別れだ。
10年以上、ハグのある文化の中で過ごした友人は、当たり前のように、私の背中に手をまわした。
わたしも、少し気恥ずかしく、彼女の背中に手をまわした。

友人は、私をやさしく包みこんだと思ったら、一瞬、キュッ と強く抱きしめ、私を解放しながら「さようなら」とつぶやいた。

その瞬間、彼女が言っていた事が脳裏に浮かんだ。
どれだけ言葉が出来ても、他文化の彼氏はできても、同性の親友はできないと。
同じ文化を持つ友人が出来ても、みな帰って行く。
何度も、取り残された様な孤独な思い。

それは、友人の心の中の寂しさが私の心に素直に伝わった瞬間だった。