享年92歳。戦争で夫を亡くし、ひとりで5人の子供を育て大変苦労をした人でした。でも、老後は5人の子供と12人の孫、12人のひ孫に囲まれ、ゲートボールと温泉を楽しむとてもすてきな優しい祖母でした。
8ヶ月入院した後、祖母が亡くなったその日、ひ孫の一人の男の子が病院で兵隊さんをみたそうです。おじいちゃんがむかえに来たんだ、これで安心して送り出せるね、と親族で話しました。
そのようにして旅立っていった祖母のお葬式は、50人近い親族に囲まれた悲しくもあるけど、どこかなごやかなものだったように思います。
私たちは、お葬式の当日、あわててランドセルを買いにいきました。
祖母は、それまで入学するひ孫にランドセルを買ってくれていました。亡くなる少し前に、ランドセルを買ってあげてとお金を渡されていたのです。
お葬式のあと、きれいに飾られた祭壇の前に4人のひ孫が並びました。赤いランドセルが1つと黒いランドセルが3つ。
大きいおばあちゃん(ひ孫にはそう呼ばれていました)ランドセルありがとう。
祭壇の中の祖母が、にっこり笑っていました。
(東京都:フジモトさま)