内孫ということもあり、無口で物静かな祖父でしたがいつも見守るように可愛がってくれました。その祖父の死。
私は、現実味がないにも関わらず、次から次へと零れてくる涙を止めることが出来ませんでした。
お葬式の朝は、暖かい四月の雨が静かに降っていました。
「ご焼香に来てくれる皆さん、雨の中大変だね」などと母と話しながら慌ただしく支度をしているうちに時間になり、お葬式が始まりました。すると、いままで降っていた雨がさぁっと、上がったのです。
相変わらず雲は薄黒くて今にも涙雨を零しそうでしたが、それでもお葬式が終わるまで喪服が濡れることはありませんでした。
来てくださった皆さんの中からは、祖父の人徳だね、祖父が雨を止ませてくれたんだねという声がちらほら聞こえました。
皆から愛され信頼されていた祖父を思い、静かに仏前に手を合わせました。
(群馬県 : ヤマグチさま)
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